さよならBUMP〔5〕 / ワガママ王子

ハルマキ君のパパ上の勧めで造幣局へ行くことにした私たちですが、天満橋駅で降りると、桜まんじゅうだの、「造幣局・桜の通り抜けはこちら」の看板だの、警察が誘導で出てるだので大騒ぎでした。

「ディーン様効果もあって、多いかな〜とは思ってたんだけど」

「誰ですか。」

「ディーン・フジオカ。朝ドラで、五代友厚をやってた人。鹿児島出身の偉人だよ」

「あー、すいません、僕、関西人なんでぇー」

「んだよもう。人生の大事な時期は鹿児島で過ごしたじゃん!」

お決まりのイジワル、お決まりの返しです。

「それでね、五代様をやってたディーン・フジオカってひとがね、流石にイケメン過ぎて、もう、三浦春馬以来の”母体の中で何があったんだ“って言いたくなるような顔なのよ」

「あぁ、最近見ますね。歌とか歌うんでしたっけ」

「うん。わたしはー…歌とかは〜、個人的にはやめた方が良いと思うんだけど〜…」

「俳優やりながら、歌も歌うって、あんまり好きじゃないですね。だから悪いけど、福山さんもいまいち実は……」

「あぁー、解る〜」

「でも、星野源は好き。」

「おお!! いいよね、星野源!」


そんな話をしながら、造幣局まで歩きました。天満橋駅からちょっと距離があった。

「あんまり、植物とか興味ない」

と、ぶった切る小僧。相変わらず、悪態をつきまくります。

繰り返します、24歳です。

前回(一年半前)、大阪で会ったときも、ずっと、

「悪態をつく → 私がツッコミを入れる → 普通のことを言う」

という、つまり、ひとつの話題にいくまでに、必ず「ワンクッション憎まれ口」が入ったので、私は二倍の力を会話に使い続け、バイバイする頃には、貧血を起こしていました(実話です)。

こないだ電話で話した時も、私が言うことに絶対に、まず「ノー」を入れてくるから、私は段々、「反抗期の十四歳」というより、いっそ「イヤイヤ期の“魔の二歳児”」と話してる気分になってきていた。



とはいっても、気にせず連れてくる私。
もう、十年以上の付き合いだから、気を遣うこともありません。



造幣局は、もう動けないくらいの人の山でした。
が、桜は綺麗でした。ここはソメイヨシノじゃないから、今からがベストシーズンなんですね。

たくさんの人がスマホで写真を撮ってました。
私はライブもあるので、カメラは持ってきておらず、携帯は先述した通りガラケーなので、写真は撮りませんでしたが。


「あんまりカメラで撮ってる人、いませんね。みんなスマホ」

「ねー。あれひとつで済むもんね」

「そう、iPhoneならね」


このフレーズを今回の旅で10回は聞かされました。


「まぁ、私も花の写真をTwitterにあげて、女子力高ぁ〜いアピールとかしたい。でもできない。画質悪いし」

「それができるんですよ、そう、iPhoneならね」

「まわしもんか!」


この繰り返しです。



造幣局の桜は、古代種みたいなのがいっぱいあったりしてとにかく種類が豊富でした。

ぼんやり花を眺めながら、彼は、

「濃い色のより、薄い色の方が好きだなー」

と何度か呟きました。

そして、長い人の山を越えて、出口に辿り着いたとき、言った台詞が、


「綺麗でしたね。いろんな種類をいっぺんに見れてよかった」 


あなた、さっき、植物興味ないって言ってなかった?



開場時間(開演時間ではない)の15時はとっくに過ぎてたので、環状線に乗って会場に向かうことにしました。
駅に向かいながら、何かの話のついでに私が何気なく「わたし、お化け屋敷が苦手だ」というと、彼は、

「僕は絶対、ああいうところ、入りませんよ。ホラー映画とかも絶対見ません」

と言ったので、同盟を結んだろうか…! と思いました。


会場の最寄り駅のひとつ、大正駅で降りたら、BUMPライブシャツを着たファンがたくさん歩いていました。
造幣局で体力を使ったし、彼が「のど乾いた」と言うので、トイレ休憩も兼ねて、京セラドーム近くのイオンに行くことにしました。

が、トイレは長蛇の列が全フロアにできていて、これ、イオンの一般客に迷惑だろうという状態でした。イオン、あれでいいんだろうか。でも、トイレ行きたいって人を無理矢理止めて、大惨事にするわけにはいかないだろうしなぁ…。


私は別に何も欲しくなかったので(トイレは行列だし)、席に座って彼だけジュース買ってくるのを待っていたら、「先生にはこれね」と言って、ポテトを買ってきてくれました。

あなた……いつのまにこんなイケメンに育って……!

ワガママ王子のくせに、ポテト買ってくれるとか、最強かよ〜〜〜!



会場に入ったのは20分前でした。

今回は、ボーカル藤くんの誕生日直前のライブだったので、 胸に「藤原基央」の文字、背中に「4.12 トマト」と書かれたTシャツを着てる人々が、いたるところにいました。
あとで知ったところによると、あれは4/10のライブ限定発売の、藤くんの誕生日を祝うシャツだったらしい。(チャマの悪ふざけ…もとい愛?)

そんなTシャツを着てる人々を見ながら、彼が、

「解るんですけど、ああいう熱狂的な感じ、気持ち悪……」

と、まるで巨人側の席で六甲おろしを歌う行為にも等しい恐ろしいことを言うので、私はすかさず

「こら! BUMPのライブに来て、BUMPファンをなじるんじゃない!」

とつっこみました。

「うはは」

相変わらず悪態をつきまくる、24歳。ですが、私も、

「自分の名前が胸に書いてあるのを見るのって、どんな気持ちだろう」

って冷静に言ってたから、実は人のことは言えないのである。

熱くならないのがデフォルトです、AB型。

ちなみに、この、「自分の名前が胸に書いてあるのを見た人の気持ち」は後で明かされました。



物販には興味がなかったので、真っ直ぐするっと中に入りました。

なるほど、アリーナ席でも椅子があるから、誘導は特に要らないのか。



席は「2番目に早い抽選」での当選だったので、結構後ろではあったけど、ステージ中心からまーーーーっすぐ後ろに行ったブロックの、一応最前列でした。(F7ブロック・1列というやつ)

「ようやくテンション上がってきたー」

と無表情で言うハルマキ。この会話、4年前と同じじゃん。

あの会場のでかさからいけば、まぁまぁいい席かな。

それに、明らかに斜め後方に、ちびステージ「恥ずかし島」が見える。


「たぶん、あそこに来るよね」

「ベース置いてますもんね」

「えー、どこ通ってくるかなぁ(近くに柵は見えなかった)」

「上、飛んでくんじゃないですか」


といって、天井を差して、そのまま指で弧を描くハルマキ。


「ちょ、あははは! ジャニーズじゃあるまいし」


ピアノ線に釣られてドームを飛んでく藤くんたちを想像したらツボにはまって、笑いが止まらなくなった私。


今回は「ボレロ」は流れていませんでした。

そしていつも謎なんだけど、なんで会場、あんなに煙ってるんだろう?


椅子があるのがありがたく、しかもブロック内の最前列なので、ゆったり出来ました。

座席には、今回はザイロバンドではなく、ゴム製の白いリストバンドが置いてありました。

モニタの案内が絶縁体を抜け、と何度も言っているのに、なんだか妙に慎重になって、絶縁体に触れない我らふたり。


会場をきょろきょろ見回しながら、他愛の話をしながら待っていると、

ダイナミックなカウントダウンが始まり、


会場が暗転し、


ライブが始まりました。

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