さよならBUMP〔7〕 / そっくりさん

私が大学院生時代にアルバイトをしていた塾は、
先生と生徒の距離が近く、仲がいいことがウリのひとつで、
私自身が中学生のときに通っていた塾とは大分違っていました。
(私が通っていた塾は、フツーに勉強のことしか言いませんでしたし、大嫌いでした。
だから夏休みだけ通ってすぐやめた。)
ですので、この子だけじゃなく、他にも何人かの生徒と今もおつきあいがあります。
ありがたいことです。


ただ、そんな中でも、このハルマキ君はちょっと特別な存在です。
気付けば10年以上の付き合いで、先生と教え子とはいっても、
その関係だった時間はこの10年余りのうちの2年だけ。
その後は対等に遊ぶようになっていったし、
関西で会う時は私が世話してもらってる状態ですので、
今では年の離れた親友みたいなもの、といった方が適当かもしれません。



私はこの子といると、不思議な感覚を持ちます。
その感覚の理由はあれこれ探し、答えも幾つか見つけてきましたが、
今回もさらなる「回答」を得られた気がしました。



まず、ライブ開始前に、行き交う警備員を見て、彼は

「みんなネクタイの柄が一緒ですねー。支給されてるんかなぁ」

とつぶやきました。

「へ~……」

と私はぼんやり答えました。



ライブが始まり、曲が変わりますと、

「チャマ、さっきのは弦が3本だったけど、今度のは4本ですね」 

「へえ~~そうだった?」

彼は4年前のライブの時も、アンコールの際に、

「藤くんだけ、Vネックですよ」

「へえ! よく見てるね!」

「ワガママですよ」

なんて言っていました。



そういえば、うちの母もテレビを見ている間、

「この子役、どこかで見たよね~! 思い出せない……えーっと……」 

「このナレーションの声、誰だっけ……誰だっけ……あ! 松重豊!」

私はいつも、

「細かいこと気にしてないで、番組に集中すればあああ!!???」

と言います。



曲に合わせて腕を元気に振り上げる私の横で、彼は、

「立ちっぱなしで移動出来ないって、どういうテンションでいればいいのか、解らない……」

と言いました。


うちの母は、嵐のコンサートで言いました。

「なんか、どういうテンションでいればいいのか解らないのよねー。
若い子に混ざってキャーとか言えないし」



リストバンド(PIXMOB)は、ご存知、ライブの雰囲気に合わせて指令通りに光るんですが、 

「これ、光る仕組み、解りましたよ」

「どうやるの?」

すると無言で私のリストバンドを指で「バチン!」と弾いて、

「おおっ! 光った!」

目をまんまるにする私に、

「振動で光るんです」

といって彼はニヤッといたずらっぽく笑いました。
感心するけど、普通、ライブ中にその原理を解き明かす?
なお、PIXMOB、帰る頃には解体されてました。(電池取り出してた)


こないだ、実家のBlu-rayデッキが、不具合を起こしていたらしいんですが、母が電話で、 

「直せないかと思って、ちょっと解体してみたんだけど~」

と言っていたので、私は、

「普通、電気屋に任せない?」

と言いました。



ライブ終了後、彼は言いました。

「うーん、やっぱりネクタイの柄、みんな一緒。でもえらそうな人のは素材が違うっぽい」

まだ言ってたのかあああああ!!!



母は、福山雅治に興味はありませんが、星野源が好きです。


ハルマキ君は言いました。

「俳優が歌うのはちょっと……。でも星野源は好き。」



造幣局花見のとき、彼は言いました。

「色の濃いのより、淡いのが好きかな」


こないだ、うちの母と電話していて、花の話になり、母は、

「お母さんはね、楚々とした花が好きかな」

と言っていました。



「僕はお化け屋敷とか、絶対入りませんよ」

と彼は言いました。


うちの母は、CMで八つ墓村の再現をするという理由で、日清に苦情入れたろか、と言っていました。



私は、思いました。



「わたし、お母さんとライブに来たんだっけ?」




感覚が似てるんですね、母と。
私も前述した通り、結構、細かいところを見てたり気にしていたりする自負がありますが、
私が例えば何かを「1」見ているときに、ハルマキ君も、母も、「5」は見ている気がします。



「なんでライブ会場って煙ってるんだろう? 熱気?」 

退場指令を待ちながら、天井を見上げてぼんやり呟く私に、

「たぶん、レーザーの効果を綺麗に出すためにスモーク焚いてるんですよ」

と彼はあっさり答えました。

「ほはぁ! なるほど!」

私は感心してため息をついて、

「あなた、ホント、聞けば何でも出てくるね!」

と言いました。

「先生がでかいライブ会場しか行ってないからですよ。
小さいとこだと開始と同時に煙がぶわーーーって出てきますから」

照れたのを隠すようにしてか、少し俯きながら彼は笑って言いました。



うちの父は、よく母に、

「おまえはホントに、いろいろ知ってるなぁ!」

と言います。



いうまでもありませんが、 彼の「月星座」は、私と母と同じ、


乙女座です。



そして、彼と来たことで、ライブが数倍「おもしろくなった」こともまた、

いうまでもありませんね。 

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