いつでも、命が喜ぶように、やるだけだ

感動しすぎると、絶望することがあります。
それが憧れる世界なのに、自分は絶対に届かないのだ、という絶望。


久しぶりに、梨木香歩さんのエッセイを読んでいるのですが、
ああ、そうだった、私はいつも、この方の文章に打ちのめされるのだった……という感覚も久々に思い出しました。


これほどまでに、地球に生まれてきた理由の味わい方を知っている方が他にいるだろうか。
そう思うほどに、梨木香歩さんの『表す』全てがうらやましい。


同じ場所にいて、同じものを見たとしても、心が味わう彩りは、私の何倍も豊かなのだろうと思うし、
そしてお金持ちならぬ、なんて『言葉持ち』なのだろう、と。
味わった豊かさを、言葉という『形』で自由自在に(と私には見える)、この世に具現化していく。


そして、この力が出来上がるまでの土台の秘密を知ったときに、
「ああ、もう、私はここに、ほんの少しも届くことは出来ないのだ」
と絶望を感じるに至ってしまったのでした。


*


大人になるにつれ、自分というものが少しずつ解ってきて思うのは、
自分の最大の『欠点』は、「完璧主義」だということです。
(星の世界で言えば、乙女座要素が強いのと、5ハウスの土星が金星にスクエアかけてるのが原因とも読める)



大したことないなら、みっともないから、いっそやらないほうがいい。

いい歳だから、恥ずかしいことは、やらないほうがいい。

たとえ、それが好きでも。



そして、そういう頭からの声に対抗するのはなかなか至難の業。
幼少期からの癖みたいなものだから。
その結果かどうか解らないけれど、私は言葉も絵も、中途半端だという自覚が強いです。
突き抜けて、何かを好きにやり遂げることが、私には馴染みがなくて、難しすぎる。
「こんなことやっていていいの?」その声の主はしぶとくて、昔から倒せずに今に至ります。


それならそれで、どうして、『普通』に満足出来る魂で生まれてこなかったのだろう。
『好きなことを持つ』魂なんかではなく、
『好きなことは高みにのぼらなければならないもの』なんて考える魂なんかではなく、
社会の枠組みにきちんとはまって、それを幸せと感じられる心でどうして生まれてこなかったのだろう。
創造したい心なんて、いきづらさの源でしかない。
理想と現実がかけ離れているから苦しいのだというなら、理想を捨ててしまえばいいのに。
何度、そんな風に思ったか、解りません。



今日もそんなことをぐちゃぐちゃと考えながら、帰宅して、ニュースをつけると、
偶然、夕方のワイドショーで、外国人へのガイドボランティアをするおばあちゃんの特集を放送していました。


おばあちゃん、90歳。
英語は40歳から始めて、初めて外国人と会話したのは、60過ぎてからのこと、
本業はフラワーデザイン。その勉強に海外に行って必要性を痛感したことがきっかけ、
だそう。


いうまでもなく、おばあちゃんのその姿は、私の鬱々とした自己完結を一瞬にして、吹き飛ばしてしまいました。


ちょうど最近、21歳でカナダに留学した時の写真を見返していて、
「もったいない過ごし方しかしなかった。もっと本気で学んでいれば、今頃たくさん話せたのに」
なんて遠い目をしていた私に、


「子どもの頃から絵を描いてる人には、結局及ばない。私はいつまでこんな中途半端な不毛なことを続けるの」
そうして過ぎた時間の中の後悔ばかり探していた私に、


「大したことないなら、みっともないから、いっそやらないほうがいい。
いい歳だから、恥ずかしいことは、やらないほうがいい。たとえ、それが好きでも。」
自分の魂に制限をかけていた私に、


「どうしてこんな面倒な魂で生まれてきたんだ」
と、ぐちゃぐちゃ考えながら帰宅した私に、


まるで、メッセージのように現れた、おばあちゃんの姿。
それは、どこから、いつから始まっても、自分の命をきちんと使う姿で、
「奇跡は日常のどこにでもあるのよ」なんていうけれど、案外こういうことかも?とちょっと本気で思いました。



思えば、絵画スクールの皆さんも平均年齢70代後半。
そして、絵を始めたのは60に入ってからという方が大半。
そこにあるのは、どこから始まっても、心がやりたがることに、命を燃やす尊さ、美しさです。
それをいつも身近に見ているのにね。


梨木香歩さんの綴る世界で、一番羨ましいのは、地球に生まれてきた理由の味わい方。
それは、(自分からにしろ、他人からにしろ、)認められるほどの力が無いとか、
稚拙すぎてみっともないとか、
そうした何かの基準に捕らわれるのではなく、
そこにあるものを、ただ、ただ喜べるからこそ、持つことの出来る力のはずなのです。



理想と現実がかけ離れているから苦しいのだというなら、「理想」をまるごと変えてしまえばいいのかもしれない。


早いことも、遅いこともない。

理想は、いつでも、命が喜ぶように、やりたいことをやるだけだ、

なんていう風に。

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